アウトローな夜2 ぽっくす小噺 [ビリヤード]

赤い回転灯は 間違いなく我々の後ろでクルクル輝いている。

前のクルマ止まりなさい、みたいなことをスピーカーから、がなりたてる。

前の車とは、やはり、すなわち、このマーク2であろう。

「あ、なんかしゃべりよるばい」つぶやく私。

「なんかちゃ、うるせえっちゃ」

無頼派であるRぞうは、知らんぷりで ぽっくすへ向かいアクセルを踏む足に力を込めた。

だがしかし、刹那、信号が赤に。

律儀に停車するRぞう。

「え、止まるんや。なんでそんなとこだけ真面目なん?」

たじろぐ私。

後ろの白黒のツートーンカラーの禍々しいクルマから ポリスマンが降りてきた。

2人のポリスマンに、囲まれるマーク2。

まるで、だだを捏ねる園児をみるような困った表情で、

「はい、お酒飲んでるねえ?・・・ちょっと、いいかねえ?ん」

ポリスマンは、Rぞうに酒気おびの検査を強要する。

「なんなん?!!なんで、わたしがそんなんせないけんと?」

怒気をふくんだ、強い語調で国家権力に立ち向かうRぞう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いや、もう助からないなあ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

そうおもいながら、わたしは、Rぞうに公務執行妨害、という余罪がつかないことを、祈っていた。

ぽっくす小噺①アウトローな夜。 [ビリヤード]

もう、時効だ。

昔話である。

そのお方は、その頃、新社会人になられたばかりで、非常に荒れていた。

友人のおかあさまの経営する小料理屋で、軽くお酒を嗜む。

このお店は、居心地がよく、、家庭的でおいしい料理が用意されている。

また、料金も非常に良心的だ。

そのお店で、ルービーを勧められるわたくし。

「おう、飲め! オレの酒が飲めんのかちゃ!?」

その方の一人称は「オレ」

とりあえず、そのお方を仮にRぞうさんとしよう。

Rぞう。お酒もずいぶん召し上がる豪傑である。

「おう、ミスチル歌え、ミスチル!」

もはや、こうなってしまえば、私の奏でるメロディーは「哀しみのメロディー」である。

宴もひと段落したあと、Rぞうが口を開く。

「ぽっくす、いくぞ!玉つくぞ!」

えー、そんな状態で玉をお突きになられるのですか?

と内心おもったけれど、ここから「ぽっくす」までは、ほんの少しの距離。

ぽっくす、で、「大きなオレンジジュース」でも飲んでいれば、酔いも覚めるだろう。

わたしも、玉突きたいし・・。

そのRぞうのマーク2が、爆音をたて、進路を ぽっくすへ。

気のせいだろうか、赤色灯の後ろで回った気がした。


トレジャーハンター [おやつ]

最高においしいケーキがある、との情報を得た。

信用できるすじからの有力情報。

販売店を訪ねるが、品切れ。

同系列の販売店に何店を足を運ぶ。

4店目で、ようやくゲット。

なかなかの美味である。

大人買いしようと思ったけれど2個しかなかった。

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ブルーチケット

「このブツを本社に届ければ今日のミッションは完了だ。」

そう考えながら、助手席のブツをチラ見して、警戒にアクセルを踏む私。

このブツは弊社の運命を担う大切なもの。

私はその重責に心地よいやりがいを感じ、慎重に進路を南へとる。

ウルトヴィッツ2号は、東京タワーの脇を軽快に走る。

ウルトラヴィッツ2号に搭載されている教育型コンピューターが、進路方向を指示する。

「次の交差点を、左折です。」

その音声に慌てて、左車線へ、車線変更をする。

ん、黄色いレーンだが、止むを得まい。

車をすべりこませる私。

左折した先に、険しい顔をした女の人が、トオセンボ。進路を塞いでいる。

「進路変更の違反です。」

その婦警さんは、そう冷たく言い放った。

しまったーーーー。と内心思ったが、とぼけることにした。

「え?なんのことでしょう?」

すると、横断歩道の上から、アメリカンなホポリスマンが降りてきて、

「私は上から目視していました。あなたは、違反をしました。」

揺るぎない強い口調。

バスケの試合だって、線は七回まで、踏んでも構わない。

なのに、一度、黄色いラインを踏んだからといってどうだというのだ。

誰にも迷惑をかけていないし、安全確認だって十二分にしている。

ひとっこひとりいない、車もとおらない、みとうしのよい交差点の赤信号を、守るような馬鹿なこと、したくない。

とりあえず、屁理屈をこねて、抵抗しようかな、と考えたが、今回は、自分が悪い。

まあ違反は違反。そうゆうものだ。

大切なブツを運ぶ途中なので、ここは、不本意だが、お縄につくとしよう。

ブルーチケットを切られる。

婦警さんは、笑顔で

「すみません、ありがとうございました。」と。

??
ありがとうって、どういううことだ?!!!むうううううううううううううううう。

礼を言われる筋合いはない。

「すみませんといわれる、覚えはありませんから」

そう、クールに吐き捨て、ハンドルを握る私。

心の中は悲しみの嵐が吹き荒れていた。

あーあー、6,000円あれば、本当にいろんなことが出来るのに・・・・・。

本社に帰着するまでの2時間半、ずっと

「6000円あれば、何が出来るか」考えていた。

カツ丼が9杯食える。

あんドーナツが60個食える。

あの坦々麺でさえ、5杯食える。

うまい棒ならば、600本。

なんという、不幸だろうか・・・・。





未来の国からはるばると [漫画]

そんなこんなで、4巻から、読み始めたドラえもん。

1話読切形式なので、どこからでも読める。

結局、ドラえもんの1巻、第一話を読むのはずいぶん先のこととなった。

友人の家に並んでいた単行本を、拝借して、物語に没入した。

それは、おさない私にとって、あまりにも残酷なプロローグだった。

のんびりした、お正月の風景から物語は始まる。

うまそうに「おもち」なんか、食べているのび太少年。

突然、机の引き出しから、あらわれたロボットに

大人になっても残念な未来しか待っていないことを、告げられる男の子のび太。

死にたくなるような、絶望的な物語の序章である。

そして、いかに「最悪な未来」が少年を待ち受けているか、写真を見せながら

解説する青いロボット。なんとかするから、と君に言われても、と、思わざるを得ない展開。

ユニークなキャラであるドラえもんと、藤本先生のキャラのルックスで判り辛くなっているが、

完全に優れたSF作品である。

今、半世紀の時を越えて、再認識する。

ドラえもんは、高次元なSFドラマであると。

今、大人が読んでも充分に満足できる名作なのだ。

笑いもブラックで、味わい深い。

ドラえもん=幼児漫画ではなく、ドラえもん=SF漫画

という視点で、もう一度読んでみて欲しい。

そのシュールさに、病み付きになることは、想像に易い。
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初めての単行本

小学3年生の頃、

はじめて、漫画の本を買ってもらえることになった。

小倉玉屋の書籍売り場。

平積みにしてある 1コーナー。

どの表紙もカラーでキラキラしていて、

なんだか、宝物のように思えた。

私は、巻数など気にせず、一番気に入った絵の単行本を手にする。

「家に帰ってから、読みなさい」

そういわれ、母親から手渡された単行本は、とてもいい匂いがした。

少し、大人になった気がした。

それから、何度も何度も何度も、読み返した。

何度も何度も、その絵を真似て描いた。

全ては、ここからはじまった。
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伝説の髑髏3④ [ビリヤード]

ビリヤード店Fに着く。

店内カウンターの受付用紙に名前を書く私。

店番は、無チダ氏。

私は、キューを買った旨をこぼす。

「これなんやけど・・・」

キューを見せる。

テカテカに安っぽく輝く残念なマイキュー。

「これ、いくらやった?」

尋ねる無チダ氏に、金額を告げると、

「これ、そんなにせんよ、2,000円くらいよ」

と、死にたくなるようなセリフが返ってきた。

むぎゅう・・・

「キューなら、うちでも、扱っとるよ。相談してくれればよかったのに。」

ビリヤード店Fがキューを扱っていることは、知っていた。

けれど、相談することが、なんだかまだ、はずかしかったのだ。

もう少し上達して、そう、あと一年くらい修行をして、真の常連になってから、

ハウスであるビリヤード店Fでキューを吟味したかったのだ。

ちゃんとしたキューを。

私が、あわてて購入した10,000円のプリントキューは、実は2,000円の価値しかない。

そう、あわてる乞食はもらいが少ないのだ・・・。


シークレットナンバー・ブチョリーナ [ブチョリーナ]

「あー、もう、めんどくせー!」

「これは、面倒ですねえ」

社内から、次々に声があがる。

先日、我々が業務に必要な書類を作成する為に、毎回10桁近いパスワードの入力が課された。

はっきりいって、毎回毎回とても面倒くさい。

険悪な空気となった社内で、ブチョリーナは知らん振りをして、何かを懸命に調べている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
20分ほどして、ブチョリーナが無言で、私の机上に紙を落として、去っていった。

なんだろう?訝しがりながら、紙を覗き込む私。

紙には、社員全員分のパスワードの語呂合わせが、記載されていた。

私の語呂合わせは「おもちよいよい・・」とかいう、食べ物にちなんだ覚えやすいもの。

これを、調べていたのか・・・。しかも意外にも、なかなかの秀作ぞろい。

ブチョリーナ。相変わらず、油断できない男だ。


ゆずれない願い

いつだったかよくおぼえていないけれど、コンビニのレジ前の笹の葉に、

願い事を書いた短冊が吊るしてあった。

会計待ちの間、ぼんやりとそれを眺める。

「ハンバーグが食べたい」

「××高校に合格したい」

などという、まあ、俗なほのぼのとした願い事がほとんど。

だがそのなかに、強烈なヤツをみつけた。

「病気になってもよいから、仕事を休みたい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガチで、真剣な楷書で深緑の短冊に、書いてある。

そもそも、そんな風に考えることそのことが、もう病気だよ、と思ったけれど、

深く考えると呪われそうなので、知らん振りをした。

それにしても、悲しい願いだなあ・・。

あの花の名前を僕達はまだ知らない。 [あにめ]

ずいぶん前から、気になっていたタイトルで、いつか観てみようと、そう思いつつもずるずると。

まあ、絵柄も全然好みではないし、話もつまらなそうだし・・・。

とりあえず、1話だけでも、と、観てみる。

気がつくと、3話まで観ていた。

よい。

ネタバレになるので、あまり多くは語れないけれど、なんというか、切なくてよい。

こんな話だとは思わなかった。

未来少年コナンを初めてみたときに似た衝撃。

リアリティがあって、背景の描写もよく、素晴らしい。

決してきれいな映像ではないけれど、優しい気持ちになれるそんな作品です。

アニメでまだ、こんなこと、できたんだなあ。

この勢いで、フルーツバスケットも観ちゃおうかな。

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