サスライガー

駅のホームを抜け茅野を目指し、歩き出すわたくし。

ほんの少し、歩いたところで、視界に赤い回転灯が。

ポリスマンだ。どうやら、よっぱらいを介抱している様子。

わたしは、淡い期待を抱き、判りきっていることを、訊ねる。

もしかしたら、茅野まで、パトカーで送ってくれるかもしれない。

「すいません、ここから茅野って、やはり歩くと遠いですか?」

遠いことなど、1000も承知。

優しいポリスマンの返事を期待する。

「えー、歩いてかねえ?」

よい、リアクションだ。

その後に続く優しい言葉に期待する。

「気をつけて、行きなさい。この道をまっすぐ行くと、茅野。

そのままさらに、まっすぐ行くと 甲府。

さらにすすむと、東京に着くよ。」

と、無残なアドバイス。

わたしは、とぼとぼと歩き出す。

道は一本道。

凍える寒空から、ハラハラと舞い落ちる白い雪。

突き刺すような寒さに、呼応するかのように、

鼻水が流れてきた。

30分ほど、歩くと、コンビニが見えて来た。

おにぎりを買い、コーヒーを買う。

何故か、コンビニではSUICAが使えるようだ。

30分も歩けば、もうさすがに飽きてくる。

わたしは歩かずにすむ方法を一生懸命考えはじめた。
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