はじめての牛丼ぶり


吉野家で牛丼を。


並盛300円。


変わらない味にふと昔を偲ぶ。


::::::

35年前


少年ジャンプは170円だった。


読んで、そして理解ができる作品は


キン肉マン


ドクタースランプ


これくらいだ。


その読むことのできる漫画の中のひとつ


キン肉マン


ぶたさんと間違えられて


地球に捨てられた不遇の王子のものがたりだ。


この王子、牛丼が大好き。


めちゃうまそうに食べる作品の中での描写が


ホントウに刺激的だった。


牛丼食べてみたい。


おかあさんにおねだりするも


出てくる牛丼は「すき焼き丼」。


コレジャナイ感は半端ない。


そんな風に漫画を通して


牛丼に憧れていた頃、とうとう


店の近所に(うちは洋装店を経営していた)


吉野家がオープンした。


当時の私は、土曜日のお昼は外食。


小学生ながら贅沢だとの声もあるだろうけれど


仕事をしている家庭の事情で


給食のない土曜日は、どうしても


わたしのお昼の準備はできないのだ。


午前の授業が終わり、


おかあさんから、500円札をもらい、吉野家に走る。


はじめての牛丼。


同じ共働きという家庭の事情で


お昼は外食のともだち2人と店の前で待ち合わせ。


深呼吸をして、


自動ドアを開け、店内へ。


威勢のよい声に迎えられて


カウンター席へ。


店内には札がかかっている。


牛丼は300円。


メニューは牛丼だけだ。


注文すると、冗談みたいなスピードで


牛丼が出てきた。


キン肉マンになった気分で


がっつく。


美味しい。



大学受験の帰り。


問題の問うておる意味すらわからなかった。


高田馬場駅までの道中の吉野家で


ああ、こりゃ浪人だな、どうしよう、と頭を抱えたあの日。



朝まで、麻雀を打って、胃に押し込む


牛丼の染み渡る美味しさ。


なんだろう、うまく言えないけれど


吉野家の牛丼、という


そういう文化の位置づけが好きだ。


ほっとする。


自分の人生に歴史があって


それが繋がっていることを教えてくれている、


そんな気持ちになるのだ。




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