嫌な予感しかしない。 [事件簿]

このままではラチがあかない。

非常灯の元へ走り、屈強そうなドアに体当たりをするもビクともしない。

ふむ。

まだ、あの異様な女の人は、エレベーターのそばをうろうろしている。

私は意を決して店員さんにチクることにする。

「行動が尋常でない人がいて、エレベーターの乗ることができない。」

「警察を呼びたいのだが・・・・」

私は、女性店員に告げる。

すると、その20歳くらいの店員は、得心した顔で、

「あー、はいはい。大丈夫ですよ。行きましょう。」

とサラリと言い放つと私を先導した。

「大丈夫ですよ。あの女の人はいつも居ますから。」

エレベーターの前に到着。

あの奇異な女の人が、「ぐるるるるる」とこちらを見つめ「ぶつぶつ」つぶやしている。

その女性店員は涼しい顔をしている。

その奇異な光景の原因である「異様な女性」に一瞥もくれない。

そして、「まるで何も見えていないかのように」私をエレベーター内へ。

エレベーターは無事1階のフロアへ。

ひそやかな月光に、妙に安心感を覚える。

帰宅しながら、考える。

おかしい。

もし、あのような異様な女性が、1台しかないエレベーターの前をいつも徘徊しているのだとしたならば、

営業妨害もはなはだしい。お店もなんらかの手を打つはずだ。

そして、あの女性店員の落ち着き払った態度。

そしてなによりも、あの異様な女性はいつからあの場所にいたのだろうか?

服装も乱れていたし・・・。

考えれば考えるほど嫌な予感しか浮かばない。

真相を究明する勇気はない。

ただもう2度と、あのイタリアンレストランに、私が足を運ぶことはないだろう。

怪異に巻き込まれるのはまっぴらごめんである。

ちあふ.jpg




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