恐怖の代走③ (麻雀) [麻雀]

やっちまった。代走に入ったとき、ツモらずに切ったんだ。
ばかばかばかばかばかばか!とりぷるばか!!!俺のばか!果てしないばか!
どうしよう。このままだと、上ツモ下ツモの異変に対局者が気付き、私の小牌がばれてしまう。
なんとかしないと。大変だ。
とにかくツモ順を変えてごまかせ。緊急事態である。
私は、安牌の最有力候補であったはずの東をポンして、9枚の手牌で構え、うまいことツモ順をずらした。
常連であるところの対局者から「代走がしかけるか?」との誹りを受ける。
だが、こちらはそれどころではない。
小牌がバレないように、自転車のハンドルを握るように9枚の手牌の両端を押さえ平静を装う私。
しかしながら、あの無法者が戻ってきたとき、東を仕掛けておきながら手牌バラバラなどという、ふざけたことになっていたら、それはそれでもちろん、ただではすまないだろう。
アガリに向かったけれど、危険牌を掴んでおりました、という感じが一番良い。
そう思い、少し聴牌を意識して牌を集める私。
いつしか手牌は9枚なのに、イーシャンテンのような形になっていた。
まあ、永遠に聴牌は不可能だけどね。
小牌だから。①③③③234七七。
東ポン。どうすれば聴牌できるのか教えて欲しいものだ。
安牌チックな牌は①位しかない。トイレのドアをチラ見する私。
無法者よ。頼むからまだ出てこないでくれ。てゆうか、早く誰かあがってくれ。
もうこうなったら一枚位拾っちまうか?
もういっそのこと、おまわりさん呼ぶか?
賭博行為で検挙。あ、俺も捕まるなあ。
そうしたら、やっぱり退学になるかなあ?
もう、本当にいろいろな思惟が脳裏をよぎる。
わずか数分間のことなのだろうけれど、私にとっては、無限の時のように感じられた。
 しかし、残念ながら、トイレのドアが開いた。
無法者のご帰還である.
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