ダムダムの音が聞こえる
夕暮れ。
会社帰りに、いつも体育館のそばを通る。
ダムダム、ダムダムと心地よい音が聞こえる。
バスケットボールのドリブルの音。
最高に好きな音。
若者たちが、懸命にボールを追いかける。
そこには、損も得もない。
バスケットボール、最後のボールに触ってから、
もう20年以上の月日が流れている。
ボールの感触。
みんなとともに汗をかく心地よさ。
夕暮れのかおり。
なにもかも、全てが懐かしい。
もう一度、バスケがしたい。
あの頃は、気にも留めていなかった。
こんなに愛おしい時間になるとは夢にも思わなかった。
夕暮れには、ダムダムの音がよく似合う。
響くその音は、時の流れと老いの残酷さを
わたしの心に打ち付けていうようにも思えた。
夕暮れ、黄昏時は、切なさに溢れている。