ブチョリナブチョヒの憂鬱 [ブチョリーナ]

ウルト、ラビッツ1号で、帰社した社員が、口を開く。

「サイドミラーに鏡をつけたのは、誰ですか?」

ブチョリーナが、俺だ、と、ドヤ顔で答える。

私は、昨日の夕方、ブチョリーナが市内に出かけていった様子を思い出した。

そういえば、あのとき、なんだか楽しそうにしていたなあ。

「あの、車を駐車しづらいのですけど・・・」

社員は続ける。

「後ろが、全然見えないんです。」

後方視界の視認性が悪いことを、さらに強調する。

「はずしてください」

プラグマティズムなその社員は、そう告げる。

ブチョリーナは一瞬、寂しそうに顔を曇らせたけれど、

「はい。」

と、いつもどおりのクールな顔で答えた。

私は瞬時に事態を理解した。

ウルトラビッツ1号は、ちいさな車だ。

そのため、どの社員が操縦してもバックでまっすぐ駐車することが、困難だ。

先日も、そのことが、社内で話題になった。

ブチョリーナは、その解決策として、ミニミラーを購入してわざわざ、取り付けたのだろう。
みらー.jpg

みんなのために。よかれと思って。それが昨日のお買い物であり、あの冒頭の一瞬のドヤ顔だったのだ。

喜んでもらえると思ったのだろう。

けれど、この仕打ち。

私は、昼休み、\\ブチョリーナをフォローの材料を探す為に、ウルトラビッツ1号へ向かい、ハンドルを握る。

本当に、後方視界が悪いのだろうか?実態を検証しよう。

・・・・・・

確かに、視界は狭くなっているが、慣れれば問題ないのではないか。そう思った。

うーん。

だが、後方視界が狭くなっていることが、問題なのだろう。残念な話だ。

思いやりが、仇になる。

そんなことは、人生いくらでもある。

いや、むしろ、思いやりは、ほとんど仇となって自分に跳ね返ってくる。

それでも、その生き方を変えないブチョリーナは、ナイスガイだと、やはりそう思うのだ。



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