うたうたいのテーマ

先週末こと。

23時45分発の電車に乗り遅れた。

次発の電車は0時06分。

20分近くも時間がある。

「コンビニで時間をつぶそう」

そう思い、改札前で、踵を返す。

すると、どこからともなく聞き慣れたメロディが・・・・

♪「ニシエーガッシーエー」♪

メロディの流れてきた方向を見ると、20代にみえる若者がひとりぼっちで、弾き語り?をしていた。

♪「ニシエーガッシーエー」♪

どうやら、ミスチルの「西へ、東へ」を歌っているようだ。

私はこの曲はともかく、この曲の収録されているアルバムは大好きだったので、すぐにそうだとわかった。

しかし、お世辞にも上手とは言えない。

けれど、ギターが奏でる音色が、とても切なく胸にしみた。

この寒さの中、悴む指で、ギターを爪弾く若者。

悪くないな、と思った。

損得ではなく、彼にしか判らない突き動かされる強い思いがあるのだろう。

何か、リクエストしてみようか?

そう、おもった矢先、リア充の若者たちが、拍手をしながら「うたうたいの若者」のそばへ歩み寄ってきた。

「なんか、弾いてくださいよー」

「なんか、せつない曲!」

リア充どもの依頼に、「うたうたいの若者」は静かにうなづき、曲を奏で始めた。

イントロが流れる。

これは、ミスチルの「抱きしめたい」だ。

有名な曲だということもあり、道行く人が足を止め、人だかりができる。

ある者は目を閉じ、ある者はつぶやき、おのおのが旋律を楽しんでいた。

「うたうたいの若者」は、懸命に演奏する。

とおりすがりの他人の為に。

まるで、それが、おのの存在価値である、と言わんばかりに。

漫画には、漫画。映像には映像。

活字には活字。

そして、音楽には音楽にしかできないことがあるのだ。

そう強く感じた。








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