そろそろ、繁忙期に入る。

モウレツに業務が集中する2月、そして3月。

ぶチョリーナが怖い顔をしたまま、私の机に向かってくる。

何か、問題が起きたのだろうか?

私が昨日提出した報告書に何か粗相があったのだろうか?

基本、ぶチョリーナは、怒声をあげたりしない。

表情を荒げることもない。

なのに、なんなのだ?この殺気は?

かつてない緊張感が伝わる。

つかつかと、デルモのような大きな歩みで私の方へ。

ものものしい空気。

ぶチョリーナは、私にピストルの形に構えた右手を向ける。

その指先から、輪ゴムが発射され、私の肩に当たる。

??

呆気に取られる私に一瞥もくれず、ぶチョリーナは自分の席に戻った。

どうやら、ぶチョリーナは、書類の整理で持て余した輪ゴムを持て余していたようだ。

忘れていた。

ぶチョリーナが、「ゴルゴ13」のモーレツなファンだということを。