生まれて死ぬまでは一瞬。
未来のほうを向けば、たくさんの時間が
溢れているような気分になるけれど
過去を振り返るならこれまでの
自分の歴史は一瞬だったようにも思う。
一炊の夢。
儚い。
どうせ最後は、死ぬのだから
何をどう重ねても意味がない。
あの世まで、何をもっていけるわけでもない。
ならば、楽なことに包まれて
暮らしたほうが賢い。
好きなことだけ重ねて生きたほうが
賢いような気分にまでなる。
けれどそうなってしまってはおしまいなのだ。
無駄だ、と思っていながら
それでも、大切に重ねる、ということに意味がある。
鍋から直接ラーメンを食べたり。
どうせ朝また、着るのだ、と
制服のまま寝たり。
また、明日出社するのだからと
会社に泊まったり。
どうせ、消化して野に放つのだから、
ともはや、何も食べなかったり。
そんな風になってしまっては
それはもう人間ではない。
楽な暮らしに意味はない。
健康で文化的な暮らしには手間がかかるのたけれど
実はそれは、とても愛しいことなのだ。