夢を見ると、時折、夢の中で、そこに行こうとする。

自分の心の中にある原風景。

それは、月が遠くにくゆる、ススキの原っぱ。

幼少のころ、よく過ごしていたトミノダイの親戚の家だ。

分譲されていない空き地のすすきが風が吹くたびに、神秘的に揺らぐ。

外は、びっくりするほど、寂しいけれど、

家の中には、自分を大切にしてくれる人がいて、

自分の大切にしている家族もいる。

そんな夢を見る。

人は、誰もそこに帰りたいのだと思う。

けれど、生まれてきた以上は、一歩でも生まれた場所より、遠くへ行かなければならない。

わかっているのだけれど。

自分もこの命を全うすれば、あの風景に飲み込まれることができるのだろうか?

そうであれば、そうであるのならば、きっと死ぬことはそんなに悪くはない。